またまた落語の話で恐縮ですが…、(汗)
こんな本を買いました。
商品の説明(amazon.co.jpより)
内容紹介「落語ブーム」の真っ只中、今の落語家たちはこんなすごい高座を見せている! 年間350回以上の落語会に通い、1500席以上の高座を見続ける気鋭の著者(ヘヴィメタル誌「BURRN!」編集長)が現場から語りつくす、画期的新時代落語読本! 談志・小三治ら大御所から、志の輔・談春・志らく・談笑の「立川流四天王」、市馬・喬太郎・昇太・鶴瓶などの大人気の実力派、さらに二つ目クラスの注目株まで、総勢51人の「いま、観ておかないと、一生後悔することになる」新世紀落語家たちの魅力を高座から実況解説!
内容(「MARC」データベースより)談志・志の輔・談春・志らく・昇太・小三治…。新世紀落語家たちの魅力を、年間1500席以上の高座を観続ける気鋭の著者が実況解説する、新時代落語ガイド。
著者について【著者プロフィール】広瀬和生:1960年生まれ。ハードロック/ヘヴィメタル月刊音楽誌「BURRN!」(シンコーミュージック)編集長。東京大学工学部都市工学科卒業後、レコード会社勤務を経て、一九八七年より「BURRN!」編集部に入社、1993年から同誌編集長を務める。本業とは全く関係なく、三十年来の落語ファン。学生時代から寄席通いを続け、ここ数年は年間三百五十回以上の落語会、千五百席以上のの高座にナマで接している。
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面白くて、一挙に読了しました。
今現在、落語会や寄席で聴ける現役噺家さんの中から
「落語協会」、「落語芸術協会」、「円楽一門会」、
「立川流」の所属落語団体の違いやシガラミを取っ払って、
あくまでも素人目線で注目の落語家さんの実名を挙げ、
その噺家さんの得意演目や注目すべき個性、噺の内容の一部まで
紹介しており、落語初心者には非常に参考になる内容でした。
著者の、この「BURRN!」の編集長さんは、
仕事とはまったく関係ない、単なる趣味で
「年間350回以上の落語会に通い、
1500席以上の高座を見続ける」という超マニアさんです。
彼は特に立川談志に心酔しているようで、
家元はもちろん、直弟子である立川四天王の紹介に
ページの多くを割いていました。
それで感じたのですが、
この本に出て来る噺家さんの半分くらいは
ほとんどTVで落語を披露しない落語家さんたちです。
発売されているCDはあっても、DVDとなると皆無
という方も多いです。(CDですらほとんどない方も)
立川談志師匠については、NHKが定期的にドキュメント番組
を撮ったり、落語のスタジオ収録をしたりして、
今年の3月にはBS-hiで「10時間ぶっとおし 立川談志」
なんて番組が組まれるほどですが、これは例外です。
一番人気のある弟子の志の輔ですら、司会者としてはともかく、
落語では再放送を含めて年に2、3回、WOWOWが
「志の輔らくご in PARCO」を放送する程度ですし、
やはり人気のある志らくの落語は、個人的には一回しか
観たことがありません。(深夜にやっていた「シネマ落語」)
また、談春に至っては、まったく観たことも聴いたこともありません。
僕は、志らくにしても談春にしても彼らの落語を聴くより、
彼らが書いた本のほうを先に読んだということになりますw。
つまり、基本的に寄席には出ない、人気のある立川流の噺家さん
の場合は、比較的、DVDやCDの多い家元や志の輔を除けば、
演目の限られた数枚のCDか、チケット争奪戦の激しい落語会
(独演会等)で聴くしか、彼らの落語を聴く手段は
ほとんどない訳です。
立川談春ですら、彼の落語を聴きたいと
アマゾンで検索しても、2枚のCDしか出て来ない
んですから、推して知るべしでしょう。
つまり、この本は、落語ファンの間で人気のある注目の若手、
中堅落語家の紹介本としては非常に優れていますが、
年間350日も生の落語を聴きに行くという、
羨ましくも特殊な状況にある筆者からの視点と、
「落語の愉しみの本質は、独演会や寄席で生を聴くこと」
という落語マニア共通の本音が前面に出ている点で、
近くに寄席もないし、落語会もほとんど行われないため、
落語はもっぱらTVやラジオ、CDやDVDを中心に
楽しまざるを得ないという地方在住の落語ファンには
あまり実利がない、ということも出来ます。
僕の場合は埼玉在住ですので、まだ比較的容易ですが、
地方に住んでいると、あの人の落語が聴きたいと思っても
そうする手段はほとんどありません。
夕方からの落語会や寄席の開演時間は5時か6時です。
まず、落語会や寄席の多い都内、あるいはその近郊に
住まいか勤務先がなければ、開演に間に合うように
会場まで行くことすら困難でしょう。
都心に務める公務員なら可能かもしれませんが
普通のサラリーマンや僕のような夜勤族には、
頻繁に行くことなんて、まず無理です。
著者は睡眠時間を大幅に削っているとのことでしたが
雑誌の編集長って、そんなに時間が自由になるのでしょうか?
また、頻繁に独演会や寄席に通うにはそれなりの財力も必要です。
もともと資産家の生まれなら話は別でしょうが、普通の勤め人なら
かなりの給料を貰っていないと、頻繁に行くなんて事は不可能でしょう。
一回、最低でも2500円前後、高ければ6000円くらいは
かかりますからね。
TVで顔が観れたり、噺が聴ける落語家というのは
落語協会に所属する噺家さんが圧倒的です。
いち噺家にはどうしようもない問題も含まれますが、
もっと落語番組が増えて、落語団体の垣根を越えて
多くの若手・中堅の噺家さんがTVを中心とした
マスメディアに登場して落語を聴かせるようにならないと、
今の落語ブームもあと数年で衰退してしまい、
後に残るのは元から居たご年配の落語ファンと
マニアックなファンだけ、ってなことになりそうで心配です。
「落語なら落語会や寄席へ」ってのが理想というのは
分かっています。
しかし、噺家の皆さん、もっとTVに出て下さい。
もっとCDやDVDを出して下さい。
ファンの数が限られるとしても、CDやDVDなら自主制作
という手だってあるんですから。
もっとアマチュア・ミュージシャンのように頑張らないと
狭い落語好きの間では有名でも世間的には無名のまま
という落語家が増える一方だと危惧します。
売れなくてもいいという噺家はいないでしょうが、
落語ファン以外の一般人にまで有名にならなくてもいい
という噺家さんはいらっしゃるかもしれません。
しかし、そんな姿勢こそが、「伝統に胡坐を」かき、
落語を単なる「伝統芸能」に貶める主因になるのではないか
と思います。
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