森田芳光版 『椿三十郎』(2007) Cinema Kingdom Blog

森田芳光版 『椿三十郎』(2007) Cinema Kingdom Blog

映画、国内&海外ソフト、ホームシアター機器、旅行、写真、アニメ「あの花」を肴に綴る徒然雑記

2017 09123456789101112131415161718192021222324252627282930312017 11
HOME > スポンサー広告 > 森田芳光版 『椿三十郎』(2007)HOME > DVD、BD、HD DVD > 森田芳光版 『椿三十郎』(2007)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

森田芳光版 『椿三十郎』(2007)

昨日の続きですが、
今日はリメイク版「椿三十郎 通常盤」の感想です。

椿三十郎 通常盤椿三十郎 通常盤
(2008/05/23)
織田裕二、豊川悦司 他

商品詳細を見る



映画「椿三十郎」

リメイク版の椿三十郎に関しての僕の考えは、
公開前に以下のように述べました。
黒澤明作品のDVDに<普及版>

予想通り、織田裕二演じる、
力んだ台詞まわしと、ニヤケた三十郎には
違和感アリまくりでした。
喋り方やルックスが、脚本の台詞のイメージと
全然あっていないのです。

森田芳光監督の演出は、
予想以上にオリジナル版の構図を意識したもの
でしたが、躍動感や高揚感に欠けました。
まったく同じ脚本を使っていながら、
オリジナル版の上映時間が96分なのに対して、
リメイク版は119分と、25分もの違いが出たのも
これが原因かもしれません。

それと、予想通り、殺陣のシーンの演出が
全然ダメでしたねぇ・・・。
織田の剣の腕前は、予想より様になっていましたが、
殺陣シーンをあんなに細かくカット割りしちゃ、
それも台無しですよ。
あれでは、安っぽいTV時代劇じゃないですか。
ラストのあれもねぇ・・・。(涙)

それと、照明の使い方が悪いですねぇ。
例えば、冒頭の神社の場面などは典型的ですが、
ナイトシーンで、真っ暗な鎮守の杜に
囲まれている社殿の内部は、蝋燭一本の灯しか
ないはずなのに、天井に蛍光灯があるかのように
ベタな照明を当てています。
黒澤版の頃は、フィルムの感度が低い上に
望遠のパンフォーカスで撮っていましたので
どうしても相当な光量が必要でベタ気味になっていましたが、
現在はフィルムの感度も高いですし、
ライティングの技術も上がっているのですから
もっと時代劇に相応しい照明で撮れるでしょうに…。

※訂正※
> ナイトシーンで、真っ暗な鎮守の杜に
と書きましたが、黒沢版を再見したところ、
杜の外は月明かりにしては明る過ぎるくらい
ですし、誰も松明や提灯を持っていないところから、
あれは正しくは「夕刻」ですね。
リメイク版はすっかり暗くなった「夜」で
始まりますが、夕刻でないと、その後の展開にも
無理が生じます。
菊井勢が引き上げた頃に、やっと真っ暗になる時刻
ということなのでしょう。
※訂正終了※

また、肝心の演出プランにも問題があります。
同じ冒頭のシーンで、
菊井の手の者が遠巻きにして近づいて来るのに
三十郎が気付く場面があります。
オリジナル版では、痛んだ壁板の隙間や節穴から
壁伝いに外を覗いて周ったのに、
リメイク版の壁はきれいで、隙間や節穴がなく、
三十郎や若侍たちは、左右の壁に散って耳をそば立て
大勢の足音や気配で自分達が取り囲まれたことに気が付く、
という描写になっています。
(三十郎の「見てみな」の台詞を「聞いてみな」に変更)
これは明らかに、演出上の誤りで、
次の場面では、すでに社殿のすぐ脇まで
侍たちが迫っているのに、その後も若侍たちと三十郎は
外に聞こえるような声で揉めています。
特に、三十郎は大声で「菊井の…」と怒鳴りますので
あれでは外の侍たちに聞こえない訳がありません。
また、あれでは若侍たちが隠れる時間も
作れないではないですか。
あの時点では、菊井勢はまだ神社を遠巻きにしていて、
徐々に近づいてくるのを目で確かめる演出でなければ、
セリフとの辻褄が合わなくなるのです。
オリジナル版では、この辺りもきちんと描かれているのに、
森田監督が、いかにセリフと状況を理解していないかの
証拠になってしまっています。

織田裕二以外の配役には
ほとんど不満はありませんでしたが、
室戸半兵衛役の豊川悦司が藩士でありながら、
月代を剃っていないのは、何故なのでしょう???
仕官している成人の侍で、月代を剃っていないのは、
医師か学者くらいだと思いますが…。
それに大きな声を出すと甲高いのが難ですね。
それから、松山ケンイチ以外はオーディションで
選ばれたという若侍たちですが、
井坂伊織役の松山ケンイチと寺田文役の林剛史が
双子のように似ていて、あれでは外人には
見分けがつかないでしょう。
寺田は重要な役なので、もう少しメイクなどで
別人に見えるようにしたほうがよかったと思います。
それからワンカットの長台詞ということも
あったとは思いますが、冒頭の松山ケンイチの
台詞廻しは、まるで学芸会レベルでしたねぇ・・・。
よくあれでOKを出したな…。

それから三十郎の衣装ね…。 これは酷かったなぁ~。
世界のミフネだって、衿は垢と脂でテカテカで
あちこち綻びた、ヨレヨレで臭いそうな着物を
着ていたのに、織田裕二のは、やけに小奇麗なんだよなぁ。
色だって、アレはないでしょ…。


ストーリーは、
オリジナル版とまったく同じ脚本ですから
もちろん面白かったですが、演出とキャストで
ここまで壊せるんだぁwと思いました。(苦笑)
なんとも勿体無いなぁ…。

角川春樹氏は公開前には興収60億円!とぶち上げて
おりましたがw、 氏が一番当てにしていたであろう
黒澤ファンから総スカンを浴びた結果、
興行成績は約12億円と、製作費と宣伝費の回収すら
ままならない惨敗に終わりました。

5月10日に公開された
『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』も
観客は若い女性層中心で、同じ程度の成績で
終わりそうだとみられています。
こちらも10~15億程度の興収では、大赤字です。

黒澤監督が亡くなって早十年。
残された黒澤プロダクションの経営も
大変なのでしょうが、だからと云って
安易にリメイク権や脚本使用権を売り払って
凡作や駄作を作られては、故人も浮かばれない
と思います。

すでに映画関係者の間では、
黒澤映画のリメイクは金がかかるわりに当たらない
という評価に落ち着きつつあると云います。
黒澤ファンも納得するスタッフ・キャストが
リメイクにあたっていれば、結果は違ったでしょう。
黒澤映画好きとしては、慙愧に堪えません。


椿三十郎 初回限定豪華版椿三十郎 初回限定豪華版
(2008/05/23)
織田裕二豊川悦司

商品詳細を見る

椿三十郎椿三十郎
(2002/12/21)
三船敏郎

商品詳細を見る

椿三十郎<普及版>椿三十郎<普及版>
(2007/11/09)
三船敏郎;仲代達矢;加山雄三;団令子;志村喬;田中邦衛

商品詳細を見る

関連記事
スポンサーサイト
[ 2008/05/25 05:11 ] DVD、BD、HD DVD | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。