黒澤明vs.ハリウッド Cinema Kingdom Blog

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映画、国内&海外ソフト、ホームシアター機器、旅行、写真、アニメ「あの花」を肴に綴る徒然雑記

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黒澤明vs.ハリウッド

橋本忍氏の『複眼の映像』を読了後、
すぐに、やはり今年出版された田草川 弘氏著の
黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』
その謎のすべて
」(文藝春秋)も購入して、
こちらも一気に読了しました。

まず厚さに驚きましたが、内容についても
黒澤ファンにとっては非常に貴重な資料を
満載した本でした。
あまた存在するクロサワ本の中でも
研究書としての重要度では屈指だと思います。

黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

●amazon.co.jp 「商品の説明」より転載

内容(「BOOK」データベースより)
 クロサワに編集権はあったのか?
 クロサワは本当に「総監督」だったのか?
 クロサワは本当にノイローゼだったのか?
 クロサワが描きたかった山本五十六の悲劇とは?
 そしてアメリカで発掘された謎解きの鍵とは?
 『虎、虎、虎』最後の真実がいま明かされる。

内容(「MARC」データベースより)
 幻の大作「虎 虎 虎」で黒沢明が描きたかったのは何か?
 その試みは、何故「解任」という無惨な挫折に終わったのか?
 アメリカ側の新資料を整理し、
 「トラ!トラ!トラ!」の謎を解く鍵のかずかずを提供する。


真珠湾攻撃を日米の視点で描いた
20世紀フォックス製作の「トラ・トラ・トラ!」で
黒澤監督は日本側の監督と脚本を依頼されました。
数年に渡る準備(監督、小国英雄、菊島隆三による
共同脚本の執筆、実物大の戦艦赤城、長門のセット製作、
元帝国海軍士官による主要なキャスティング、等)
を行ったにも関わらず、撮影開始からわずか2週間ほどで
「心身共に監督を続けれる状態ではない」という理由で
一方的に解任されてしまいました。
この事件は、当時、マスコミに「黒澤明、
ノイローゼで『トラ・トラ・トラ!』監督を解任」
とセンセーショナルに取り上げられ、
内外に大きな波紋を呼びました。

1960年代、円熟期の黒澤明の幻の作品としては、
監督依頼があったが製作費の折衝で流れた
『東京オリンピック』(後に市川崑監督で製作)、
『赤ひげ』後に準備され、アメリカ進出第一弾
になるはずだった『暴走機関車』
(1985年、黒澤明、菊島隆三の原案を元に、
 アンドレイ・コンチャロフスキー監督、
 ジョン・ヴォイト主演で映画化された)、
そしてこの『虎・虎・虎』があります。
中でもこの「トラ・トラ・トラ!」解任事件は
監督自身にとっても、映画界、映画ファンにとっても
最大の悲劇でありました。
この事件の2年後には、やはりファンには有名な
風呂場での自殺未遂事件が起こりましたし、
『虎・虎・虎』以前と以後の作品では、
作風も大きく変化してしまったのです。

そんな訳でこの解任劇は、黒澤映画ファンにとって、
その後、長く続くこととなる監督の
凋落と不遇の日々の直接のキッカケとなった
お馴染みの事件として、よく知られているのですが、
監督自身を含め、関係者が多くを語らなかったこともあり、
現在に至るも、その詳細は謎とされていました。


今までは、この事件に関して
ある程度詳しい情報を得たいと思うと、
映画評論家の白井佳夫氏が
日本側関係者へのインタビューを元に
「キネマ旬報」誌上で長期連載したルポルタージュ
『「トラ・トラ・トラ!」と黒澤明問題ルポ』
(キネマ旬報特別編集「黒澤 明 集成III」に収録)
や、園村昌弘原作、中村真理子作画の劇画
『炎の映画監督・黒澤明伝 クロサワ』(小学館)
などを読むくらいしか手立てがありませんでした。
(いずれも現在、廃刊のようですが、
 大型書店や古本屋でなら入手可能だと思われます)

特に、監督の死後発表された
『炎の映画監督・黒澤明伝 クロサワ』では、
『トラ・トラ・トラ!』の撮影を行った
京都・東映撮影所での常軌を逸した
監督の言動が明らかにされましたし、
黒澤組で長らく美術監督を務めた
村木与四郎氏が秘蔵していた
黒澤監督自身による『トラ・トラ・トラ!』の絵コンテ
が初公開され、話題になりました。

岩窟王所有の「黒澤 明 集成III」と「炎の映画監督・黒澤明伝 クロサワ」「炎の映画監督・黒澤明伝 クロサワ」で初公開された黒澤直筆の『トラ・トラ・トラ!』絵コンテ

しかし、キネマ旬報の黒澤明問題ルポは
主に黒澤組、黒澤プロダクションの関係者への取材
を元にしているためか、黒澤監督への汚名を返上したい、
名誉を守りたい、という関係者の意思が多少感じられますし、
『炎の映画監督・黒澤明伝 クロサワ』の方は
フィクションである劇画コミック、という性格上、
果して、どこまでが客観的事実に基づいているのかが
不明、曖昧、という欠点がありました。

その点、この「黒澤明vs.ハリウッド」は
日本側の関係者(元スタッフ、出演予定だったキャスト、
黒澤プロダクションの関係者)の証言や資料だけでなく、
筆者がアメリカで新たに発見した製作資料や
アメリカ側の当時の関係者への取材、
(特に、現場の最高責任者であった、オスカー受賞者の
 敏腕プロデューサー、エルモ・ウィリアムズの証言)
により、非常に均整の取れた、客観性のあるルポ
となっています。
また、監督の死後だからこそ、ここまで書けたのだろう
と思うような箇所もアチコチに見受けられました。
情報開示に、黒澤プロダクションが待ったをかけなかったのは
意外だと感じると共に、素晴らしいことだと思います。


黒澤監督の「トラ・トラ・トラ!」解任事件における
数々の謎、疑問は、この本の出版をもって、
ほぼ解明されたとみてよいでしょう。
橋本忍氏の『複眼の映像 私と黒澤明』に続き、
この「黒澤明vs.ハリウッド―
『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて」も
すべての黒澤ファン、必読の書だと思います。

橋本忍 『複眼の映像 私と黒澤明』
Seven Samurai Criterion Collection(3枚組)
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[ 2006/10/25 02:56 ] 映画 | TB(0) | CM(1)
読み終えて、ただただため息でした。
魂と魂、情熱と情熱、いろんなもののぶつかり合い。
読み応え十分で、素晴らしい本でした。
[ 2006/12/03 22:18 ] [ 編集 ]
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