ミュンヘン Cinema Kingdom Blog

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映画、国内&海外ソフト、ホームシアター機器、旅行、写真、アニメ「あの花」を肴に綴る徒然雑記

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ミュンヘン

火曜日に「ミュンヘン」を観て来ました。

ミュンヘン

http://munich.jp/

1972年のミュンヘン・オリンピックで起きた
パレスチナ・ゲリラによるイスラエル選手殺害事件と
その後の諜報機関”モサド”によって集められた
5人の暗殺チームによる11名のパレスチナ幹部への報復
の過程を描いた、実話を基にした作品です。

ジョージ・ジョナスの原作
「標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録」を
「フォレスト・ガンプ/一期一会」の脚本家、
エリック・ロスが中心となって脚色し、
撮影と音楽はスピルバーグ作品では御馴染みのふたり、
ヤヌス・カミンスキーとジョン・ウィリアムズが務めています。

想像よりも低予算で地味な作品という印象でしたが
内容は良かったですね。★★★★

一本辺りの制作期間に充分な時間を掛けられないほど
多忙なスピルバーグの近作にありがちな、
無駄だったり、要らないだろうと思うシークエンスが
ほとんどありませんでしたし、完成度はかなり高いと思います。
ただ、ドキュメンタリー的な手持ちカメラの映像が多くて
記憶に残るような、構図的に印象的なカットが少ないのが
ちょっと不満かな。
まあ、今は無き世界貿易センタービルを望むラストシーンは
ちょっとアザトイと思いつつもw、なかなかグッと来ましたけどね。

でも最近のスピちゃんの暴力描写は凄いですね。
ちょっと北野武作品を思わせるwような
唐突かつサラッとした暴力描写なのですが
その分、非常にリアルです。
音楽と見せ方次第ではまんまホラー映画になってしまうような
残酷さなのですが、わざとそこらを外した撮り方をしています。
スピちゃんも円熟の域に入ってきましたねぇ。
これほど多忙で多作なのに、初老を迎えても駄作がほとんど無い
ということは、やはり天才ということなのでしょう。

作品を観ていて感じたのは、
舞台が70年代ということもありますが、
70年代に作られた優れたサスペンス映画、
例えば、フレッド・ジンネマン監督の「ジャッカルの日」(1973)や、
ジョン・シュレシンジャー監督の「マラソンマン」(1976)、
フランクリン・J・シャフナー監督の
「ブラジルから来た少年」(日本未公開・1978)、
ロナルド・ニーム監督の「オデッサ・ファイル」(1974)
など、ヨーロッパ各地でロケを行った作品の影響を感じる
という点です。
一言で云うと、まるで英国製のサスペンス映画のようなのです。
この「ミュンヘン」を気に入られた方で
これらの作品をご覧になっていらっしゃらない方がおりましたら
ぜひ一度ご覧下さい。どれもお勧めの傑作ばかりです。


【キャストについて】
エリック・バナとジェフリー・ラッシュ以外は
イギリスやフランスなど、ヨーロッパ映画で活躍する
実力派俳優で固められていました。
エリック・バナ以外の暗殺チームのメンバーは
余程の映画好き以外は、ほとんど見た事がない俳優さん達
かもしれませんが、実はかなりの曲者揃いだったりします。

暗殺チームで一番血気盛んなダニエル・クレイグは
6代目ジェームズ・ボンドになることが決定しておりますので
今後は御馴染みの俳優になるかもしれません。
今までの作品では「ロード・トゥ・パーディション」(2002)
のアイルランド系マフィアのボス、ポール・ニューマンの
粗暴なバカ息子、コナー・ルーニー役が印象的でした。

爆弾屋のマチュー・カソヴィッツは
ジャン=ピエール・ジュネ監督作の「アメリ」(2001)で、
主役のオドレイ・トトゥの恋人役をしていた人で
フランスではカンヌ映画祭最優秀監督賞や
セザール賞の脚本賞と編集賞などを受賞している
監督・脚本家としても有名な方です。
ジャン・レノ主演の「クリムゾン・リバー」の脚本や、
米国ではハル・ベリー主演のホラー「ゴシカ」の監督
をやっています。

メガネのキアラン・ハインズは
「トータル・フィアーズ」のロシア大統領や
「カレンダー・ガールズ」の主役の主婦クリスの花屋の旦那、
「トゥームレイダー2」の悪役、科学者ジョナサン・ライス博士、
最近では「オペラ座の怪人」に出演しています。
長身でクセのある顔をしているので印象的な役が多いですし、
どことなく威厳があって非常に演技力もある役者さんです。

幼児期に親からひどい虐待を受けて育った子供は、
大人になると自分の子供を虐待するようになる
という話を聞きますが、現在のイスラエルはまさにその状態
だと常々、思っていました。
イスラエルによるパレスチナ庶民への迫害は
世界の目がなければナチスによるユダヤ人への迫害と
ほとんど変わらない状況になっていたかもしれません。
それでもパレスチナ西岸自治区の全域を「分離壁」で覆う
なんて発想は、規模は桁違いですし、立場は逆ですが、
ユダヤ人ゲットーの復活以外のなにものでもありません。

アメリカでは、富裕層が多く、政治的影響力の強いユダヤ人層
の圧力のせいで、圧倒的にイスラエル寄りの政策が
取られていますが、アメリカの基幹産業のひとつである映画界は
そのユダヤ系アメリカ人が造り、支配している世界であります。
ハリウッドでは50年代頃から「人種差別と迫害」を
ひとつの大きなテーマとして扱って来ました。
しかし、そういったテーマで取り上げられるのは
主にユダヤ人や黒人に対する問題だけで、
中東の人々への差別と迫害についてはほとんど無関心でした。
それどころか、ここ十数年間、
ハリウッド製アクション映画の悪役と云えば、
モスレム(イスラム教徒)と相場が決まっています。(苦笑)

この映画では、
世界屈指の諜報組織だと云われている「モサド」のメンバーが、
実は暗殺や策謀についてはほとんど素人同然で、
終いには、何の大儀も名分もない、
ただの私怨で殺人を犯す集団となってゆくさまを描く一方で、
標的となるパレスチナのテロ組織の幹部や協力者は
礼儀正しく、教養のある家庭人として描かれています。
非常に影響力のある有名な映画監督で
ユダヤ系アメリカ人でもあるスピルバーグが
このような視点の問題作を作るというのは、
非常にリスキーで勇気のいることだと思います。
それを乗り越えただけでも充分賞賛に値するでしょう。

「シンドラーのリスト」の発表前後に
「ユダヤ人として目覚めた」という主旨の発言を
繰り返していたので、「あのスピちゃんもついに
シオニストになったのか」と残念に思っていましたが、
この「ミュンヘン」を発表してからは
反シオニストとして批判を浴びているようです。(苦笑)
ある意味、スピちゃん自身も「シンドラーのリスト」後に
自分に付いて周っている印象を払拭したかったのかも
しれません。
ただ、こうしてユダヤ系の映画人を刺激した分、
アカデミー賞作品賞の受賞は難しいでしょうねぇ。


八百万(やおよろず)の神に囲まれている日本人からすると
一神教同士の宗教対立ってのはどちらかが絶滅でもしない限り
何千年も途絶えることがない訳で、まったく厄介ですねぇ…。
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[ 2006/02/11 17:44 ] 映画 | TB(0) | CM(0)
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